公募プロジェクト

学際融合アプローチによる
「一帯一路」政策の多義性の把握

Member

2020年7月31日

三重野 文晴
東南アジア地域研究研究所 教授

Overview

研究目的

中国の「一帯一路」政策には多義性がある。一面では対外援助政策・直接投資戦略として国内の政治経済環境を反映するものであり、その動きはマクロでは国際資本フローと相互関係にある。他方、援助/投資の受入国へのインパクトはインフラを中心とする投資効果にとどまらず、国によっては環境、エネルギー、物流、金融などのセクターの根本的な構造変容をもたらすほどの発揮しつつある。さらには、これらが地政学的な環境の変容をもたらす可能性がしばしば指摘されている。

このように多義性をもつ中国の「一帯一路」政策を、できる限りエビデンス・ベースで把握することが、本プロジェクトの目的である。中国側の経済環境と国際資本フローの観点からの観察、特定国や特定のセクターないしその組み合わせのケーススタディーからの観察を組み合わせて、この政策の動因とインパクトを理解する。「一帯一路」政策の詳細については開示されている情報が少ないため、このテーマの研究の手始めとして、参加研究者の専門分野におけるケーススタディーを通じた定性的なエビディエンスの発掘が、本研究の主な作業と成果となる見通しである。

本研究は、経済学を共通ベースとしながら、地域においては中国、東南アジア、欧州における地域研究の専門性を、分野においては技術面を含めたインフラ、貿易、環境、金融の専門性をもつ研究者が人文社会科学の学際的協働から、今日的政策イシューの理解を求めるものであり、エビデンス・ベース事業の趣旨に合致したものである。

本研究は、申請代表者と実施者が計画する学際型国際共同研究の試みの一環に位置づけられる。三重野、森、服部は地政学的観点も含めたより広いたテーマにおける国際共同研究をハンブルグ大学とはじめることを試みており、そのシード・プロジェクトも今年度実施している。本研究は、当該テーマにおける今後のより大きな研究プロジェクトの初動的な試みである。

2020年2月国際ワークショップから

Documents

「学際融合アプローチによる「一帯一路」政策の多義性の把握」.pdf

詳しい資料を見る(PDF)